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2006.12.20

ニーム-インド伝統医学における機能性食品素材とその利用-

富山県国際伝統医学センター 上馬場和夫先生
 上馬場先生は日本のアーユルヴェーダ(インドの伝統医学)研究の第一人者で、ニームについても大変造詣が深い方です。その先生が月刊誌『FOOD Style』(2005年12月号 特集「世界の有用植物とその利用」)に寄稿した、「インド伝統医学における機能性食品素材とその利用」からニームに関する部分を紹介する。
 ニームについては、15種類の食効が記述されており有用性の幅広さが認められているが、その利用方法には注意しなければならない部分もあることが指摘されている。

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詳細はココPhoto_80

 

 

  

【食効】
①抗真菌、抗細菌、抗ウイルス活性
 葉のエキスは、アフラトキシン産生を強力に阻害する。種子から絞ったオイルにはサルモネラなどに対する抗菌活性が強い。NIM-76と呼ばれる殺精子分画は、強い抗菌活性も持っている。
②抗動脈硬化作用
 成熟葉のエキスは、ラットの実験で血清コレステロールの低下がみられた。
③抗糖尿病作用
 5グラムの葉の水性エキスあるいは等量の乾燥葉は、インスリンの必要量を30~50%減少させた。インスリンだけでは、血糖値が低下しない量でも、ニーム葉エキスと一緒に与えると血糖が低下、血糖値が正常の動物にニーム葉エキスを投与すると低血糖になる
④抗マラリア作用
 Limonoidのgeduninを含む葉のエキスに、強い抗マラリア作用
⑤鎮痛作用
 マウスで水性エキスの鎮痛作用を検討。酢酸ライジング法では、10,30,100mg/kg投与で容量依存性に反応を抑制
⑥解熱作用
 葉や樹皮の75%メタノールやヘキサン、クロロフォルムエキスは、ウサギの実験で400mg/kg投与により解熱作用を示した。
⑦不安減弱作用
 新鮮な葉のエキスをラットに10~200mg/kg投与することにより、不安の軽減を認めた。これは、ディアゼパムの1mg/kg量に匹敵。
⑧循環系への作用
 葉のエキスは、ウサギとモルモットの実験で容量依存性に強力な血圧低下作用を示した。また、ウアバインで惹起した不整脈も抑制。作用機序は、平滑筋弛緩作用によるものと推定。
⑨中枢神経抑制作用
 葉のアセトン抽出エキスを経口投与することで、活動が抑制されペントバルビタール誘発睡眠を延長。
⑩肝庇護作用
 葉のエキスがパラセタモール誘発肝細胞障害を抑制
⑪抗炎症作用
 葉や樹皮の75%メタノール抽出エキスを800mg/kg投与すると、カラゲニン誘発足蹟浮腫を抑制。ニーム樹皮に含まれるアラビノガラクタン多糖体であるG-Ⅱa、G-Ⅲa、G-Ⅲb、GⅢDO2'Ⅱa、GⅢDO2'Ⅱbも有意な抗炎症作用
⑫抗腫瘍作用
 サルコーマ180腹水腫瘍は、ニーム樹皮のエキスの多糖体であるGia、Gibの腹腔投与で抑制。
⑬不妊作用
 ニーム花の50%エタノールエキスを経口投与すると、雄性ラットの精巣や精巣上皮小体の重量の減少を認めた。造精機能や精子の活動や精子濃度も有意に減少し、血清アンドロゲンレベルも低下。雌性ラットでも卵胞の変性と子宮内膜の変性も認めたが、ホルモンバランスには変化なし。種子のヘキサン抽出分画(一価と二価不飽和脂肪酸とそれらのメチルエステルが主体)は、一回の子宮内投与で長時間だが可逆性の不妊状態を惹起。
⑭抗潰瘍作用
 Nimbidinは、アセチルサルチル酸やストレス、セロトニン、インドメサシン誘発胃潰瘍を抑制。ヒスタミンやシステアミン誘発十二指腸病変も同じように抑制できる。また、潰瘍の治癒過程も促進。
⑮免疫調節作用
 樹皮、葉、種子の水性エキスは、マクロファージの貪食能を増大させ、MHC-H抗原の表出を促進。それらから抗原への反応を高め、リンパ球増殖を促進し、とりわけT細胞のTh1系を選択的に活性化すると推定。クラミディアやヘルペスウイルスなどの細胞内増殖を阻害するのは、直接的な抗ウイルス作用だけでなく、免疫系を介するものと推定。

【利用方法】
 適量であれば副作用はないが、過量になると不妊作用などや肝・腎の毒性所見を認めることから、単一で食品として利用するには注意が必要。実際的には、内服と外用で抗菌剤としての活用や、歯磨き、石けんなどへの外用、さらには土壌改良剤として利用されている。複数の製剤と一緒ならば、健康補助食品として用いられているが、肝臓のP450酵素系に作用するため、医薬品の濃度に影響を与える可能性がある。また薬力学的効果についても、特に糖尿病患者では血糖低下薬の作用を増強させる危険性がある。

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