ニームは世界の高優先度樹種
少し古い資料だが、旧独立行政法人林木育種センター (茨城県日立市、平成19年4月1日に独立行政法人森林総合研究所と合併)が発行している『海外林木育種技術情報2003年12月号』の同センター本所海外協力課長(当時)畑欣明氏によるレポート「世界の主要な森林遺伝資源」によると、FAO(世界食料農業機関)の林業局は、1968年以降、15名からなる森林遺伝資源専門家パネルを設置しており、世界各地域の優先度の高い樹種リストを編纂しているという。最新版は2001年11月の第12回専門家会合の際にアップデートされたもの。畑氏によると、優先度とは遺伝資源の探索、収集、評価、保存、及び育種に「今後取り組むべき」樹種ということに主眼が置かれているという。
この優先度の高い樹種の一つとして、第一にニーム(インドセンダン)が挙げられた。以下は畑氏のレポート。
その上で、はじめに地球全体規模で注目される樹種を概観しておくと、同パネルでは、現在最も優先度が高いのはAzadirachta indica(Neem ; インドセンダン)、Acacia 属、
Prosopis 属、Swietenia 属(Mahogany )としている。Neem とProsopis 属は、我が国では
馴染みの薄い樹種であるが、森林の劣化が著しい乾燥熱帯の植生回復に役立つ多目的樹種として有望であること、Acacia 属は乾燥・湿潤熱帯を問わず適応力を有する多彩な種を擁すること、Mahogany は材の経済的価値が理由と考えられる。また、熱帯各地において土着種に対する関心が高まっているとされており、これは、コミュニティー・フォレストリー等、小規模分散的な植生回復活動の高まりによるものと考えられる。
参考文献:「世界の主要な森林遺伝資源」
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