参考文献&新聞掲載記事

2009.02.16

Neem関連文献リンク集(タイトル、出典、研究者の順、敬称略)

【農学(昆虫)系】
◇「ニーム抽出物およびリモノイドのヤマトシロアリに対する摂食阻害活性」
 日本農薬学会誌 Vol.17, No.4(19921120) 石田宗孝、中田勝康、金武祚、高橋正三
◇「ニーム資材のコナガとモンシロチョウに対する防除効果と天敵に及ぼす影響」
 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 No.50(20060301) 山下伸夫、門田育生、高篠賢二 
◇「ニームオイル揮発成分に対するアズキゾウムシCallosobruchus chinensisの反応」
 香川大学農学部学術報告 Vol.52(20000300) 潘宇、市野隆雄
◇「ニーム由来成分を用いた殺虫剤IKI-0012乳剤(アザジラクチン)の天敵6種に対する影響評価試験」
 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 No.51(20070301) 武田千秋、今井修、平野耕治
◇「インド産ニーム (Azadirachta indica) 種子抽出物のユスリカ Paratanytarsus grimmii に対する殺幼虫効果」
 衞生動物 Vol.54, No.supplement(20030401) 近藤繁生、小西天二
◇「サニームとニーム油のトマト種子コーティングによるサツマイモネコブセンチュウの防除」
 日本農薬学会誌 Vol.22, No.1(19970220) AKHTAR Mohammad, MAHMOOD Irshad
◇「チカニセヒゲユスリカとヒトスジシマカに対するニーム種子抽出物の殺幼虫効果」
 衞生動物 Vol.55, No.3(20040915) 近藤繁生、小西天二
◇「シロアリの味覚感覚と摂食行動」
 木材保存Vol.34-3(2008) 大村和香子
◇「ヤマトヤブカとアカイエカに対するニーム製剤の羽化抑制効果」
 衞生動物 Vol.55, No.3(20040915) 三上暁子、山下伸夫
◇「ニーム製剤のモンシロチョウ幼虫に対する防除効果」
 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 No.49(20050301)  山下伸夫、内田智子
◇「蚊類2種とイエバエの発育に対するニーム製剤の抑制効果」
 衞生動物 Vol.54, No.2(20030615)  三上暁子、山下伸夫
◇「ヤマトヤブカの発育に対するニームオイル製剤の効果」
 衞生動物 Vol.53, No.Supplement(20020401) 山下伸夫
◇「摂食・形態形成阻害剤として知られているアザディラクチンの薬理作用(毒物学・殺虫剤)」
 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 No.32(19880325) 清水利昭、八木繁実、Siddiqui S.
◇「ニクバエの囲蛹殻形成ならびに蛹化に対するアザディラクチンの作用」
 衞生動物 Vol.41, No.2(19900615) 荻野和正、大滝哲也
◇「ミカンキジラミ幼虫と成虫に対する数種殺虫剤の殺虫効果」
 九病虫研会報 52(2006) 安田慶次、大石毅、河村太

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2005.12.19

ヤマトヤブカとアカイエカに対するニーム製剤の羽化抑制効果

農林水産省所管の独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構・東北農業研究センター畑地利用部の上席研究官の山下伸夫氏が発表した標題の論文の抜粋を紹介します。
なお、この論文は山下研究官の了解を得て掲載しており、無断で転載を禁じます。

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ヤマトヤブカとアカイエカに対するニーム製剤の羽化抑制効果
 ニームは東南アジアから中近東に自生し、インド等では古くから薬用植物として広く利用されている。ニームの主要成分であるアザジラクチン(azadirachtin)は複雑な構造を持つリモノイド化合物で、昆虫類に対して摂食、蛹化及び羽化の阻害、または産卵を抑制するなどの活性が報告されており、欧米や中国などでは有機栽培において使用可能な農薬として認可されている。しかし、わが国ではニームに関する研究は極めて少ない。ニームは農薬及び特定農薬としても登録されておらず、現状では害虫防除を目的としての利用ができない状況にあり、今後の研究の蓄積が望まれている。衛生害虫を対象としたニームの抗害虫作用に関する研究は農業害虫に比べ少なく、特にわが国においてはほとんど行われていない状況にあり、ニームの衛生害虫に対する効果については不明な点が多い。そこで、本研究ではニームに対する感受性が調べられていないヤマトヤブカとアカイエカに対するニーム製剤の羽化阻害効果を評価した。
【材料および方法】
 ヤマトヤブカは野外で採集した4齢幼虫、アカイエカは野外採集成虫に産卵させて得た初代4齢幼虫を用いた。供試薬はアザジラクチン(以下、AZ)を1.2%(W/W)含有するニーム製剤(AZグリーン、オーエム科学)を用いた。これを蒸留水で希釈し、ヤマトヤブカでは0.06―1.9ppm、アカイエカは0.006―6ppmのうちで5段階の濃度を設定し、それぞれの希釈液の200mlをポリカップに入れ、蚊の幼虫を各30個体ずつ供してゴース布で蓋をした。25℃の恒温下で飼育し、2日もしくは3日ごとに生存虫と死亡虫を数えた。死亡虫は観察後に取り除き、他の個体の生存に影響が無いようにした。対象区として蒸留水のみの区を設けた。ヤマトヤブカに対しては、ジクロルボスを5%含有する製剤(DDVP乳剤、ヤシマ産業㈱)の0.03―2.5ppmまでの5段階の希釈液を対象薬区を設けた。観察は、発育遅延し羽化できないすべての幼虫または蛹が死亡するまで継続し、繰り返しはすべて2回行った。
 【結果】
 ヤマトヤブカ幼虫のAZ処理による死亡率は、AZ濃度1.9ppm、0.6ppm、0.48ppmにおいてそれぞれ、100%、81.7%、48.3%であった。AZ0.06ppm水溶液では死亡率は15.0%となり、対照とした蒸留水と同様であった。処理1日後はどの濃度でも幼虫の死亡率は低かった。AZ1.9ppm水溶液においては処理1日後から処理3日後の間に25.0%が死亡し、全個体が死亡したのは15日後だった。また死亡は。90.0%が幼虫のステージで見られた。AZ0.6ppm水溶液では、供試個体の90.0%は蛹化したが、このうち79.7%の個体が羽化できずに死亡した。また供試個体の70.0%が3日以降に死亡した。対照薬のジクロルボス区では、0.08ppm以上で、0.25ppm以上ではほぼすべての死亡が処理後1日以内に観察された。
 アカイエカの場合はヤマトヤブカの場合よりも高濃度であるAZ6ppm水溶液で100%の個体が、AZ1.9ppmの水溶液では98.3%以上の個体がすべて幼虫ステージで死亡した。アカイエカにおいてもヤマトヤブカと同様に処理1日後までに死亡する個体は極めて少なく、ほとんどの個体はそれ以降に徐々に死亡した。
 2種の蚊における半数羽化抑制濃度値を求めたところ、ヤマトヤブカではAZ0.34ppm、アカイエカではAZ0.37ppm。またヤマトヤブカにおけるジクロルボスの値は0.034ppmであった。
 【考察】
 自然の植物抽出物を原料とするニーム製剤においては、害虫を対象とした羽化抑制試験で、主要有効成分のAZ濃度と致死率との関連を明らかにした結果は少ないが、ネッタイシマカに対しては、本研究と同様に幼虫の長期浸漬試験があり、AZ0.62ppm、1.25ppmでそれぞれ63.3%、73.3%の死亡率を示し、チカイエカについても同様の試験方法で、AZ1μg/mlにおける死亡率が約25%、5μg/mlでは96%という報告が見られる程度だった。本研究では、ニーム製剤は2種の蚊の幼虫に対してAZ0.6ppmと1.9ppmの濃度でそれぞれ81.7%、98.3%以上の致死効果を示したことから、これらの蚊の羽化の抑制に必要な濃度はAZ0.6―5ppmであることが示唆された。本試験結果をAbott補正し2種の蚊におけるAZの半数羽化抑制濃度値を求めたところ、ヤマトヤブカではAZ0.34ppm、アカイエカでAZ0.37ppmとなり、2種でほぼ同様な感受性が認められた。ヤマトヤブカにおけるジクロルボスの半数羽化抑制濃度値は0.034ppmとAZの約10分の1であり、AZを主成分とするニーム製剤は化学薬剤に比べ高濃度での施用を要することが示唆された。致死までの時間も長く、ジクロルボスに比べ遅効性であることが明らかになった。これはAZが、ジクロルボスのように急性神経毒でなく摂食障害及び脱皮阻害などの成長阻害的な効果を及ぼしたことを示唆する。AZは、虫体内に入るとエクジステロイドの濃度を減少し、もしくは濃度上昇を遅延させ、脱皮阻害を引き起こす。また、ネッタイイエカ等ではAZの濃度に依存して摂食阻害の強さが変動する。本研究において見られたように、AZ1.9ppmにおいて長期間蛹化できない個体が多いことや幼虫での死亡の原因が、摂食阻害もしくは脱皮阻害のいずれかによるものかは不明であるが、0.6ppm以下における蛹での死亡は脱皮阻害効果が作用したと考えられる。このようなAZが蚊の蛹化や羽化を阻害する成長阻害効果は、Culex属やAedes属のほかにもAnopheles属でも数種における報告があり、蚊においてはAZによる成長阻害効果は比較的広い分類群で存在することが推測される。
 昆虫成長抑制剤としては、わが国ではジフルベンスロンやピリプロキシフェン、メトプレンが既に衛生害虫を対象に認可されている。これらの蚊に対する半数羽化抑制濃度値はジフルベンスロンではアカイエカで0.0018ppm、ヒトスジシマカで0.0030ppm、メトプレンではアカイエカ4齢後期で0.0006ppm、または3齢後期から成熟幼虫まで0.028ppmから0.00037ppmである。またピリプロキシフェンでは、アカイエカで0.001ppm以上の濃度処理を行うと約20日間100%の羽化抑制効果が見られる。どの薬剤も今回供試したニーム製剤の0.367ppmと比べて極めて低濃度で高い効果を示す。製剤1㌔の価格では、今回供試したニーム製剤の方が、これら昆虫成長抑制剤より安価か同等であるが、これらの製剤の使用施用濃度の低さを勘案すると、それを補うこと、また効果も長期間持続するこら蚊類の防除においては、ニーム製剤はコスト的に不利と考えられる。
 アザジラクチンを主成分とするニーム製剤は、紫外線や高温、pH、微生物の影響を受けて分解しやすいので、実際の防除では、本研究で明らかになった有効濃度より高い濃度での施用が要求される。一方、ニーム製剤はそれぞれホルモン攪乱効果や摂食阻害効果を持つAZ―AからAZ―GまでのAZ同質異性体のほか、昆虫の摂食阻害効果を示すサランニン(salannin)などを含み、多様な成分構成を持つため害虫の耐性ができにくいことが特徴とされており、現在のところ抵抗性発達の報告はない。この点は化学合成剤に対し劣らない点と考えられる。AZのうち主成分であるAZ―Aについては合成が可能になっているが、構造が複雑であり経済的な大量合成は困難であり、現状では製剤はニーム天然木からの抽出に頼っている。この抽出のコストが高いことから合成技術の開発も望まれているが、合成物単体の製剤となると逆に抵抗性発達の問題が出てくるものと考えられ、ニーム製剤の特長が損なわれる恐れがある。
 ニーム製剤は有機栽培用の害虫防除薬としてCODEXなどで認定されているなど、環境や人畜に対する安全性は高いとされている。また、抵抗性がつきにくいことがどう評価されるかが、ニーム製剤が衛生害虫の防除資材として普及するかどうかの判断材料の一つとなろう。防除薬剤のローテンション用に比較的安く即効性のある殺虫剤tの併用など、防除システムの1パーツとして用いることで、薬剤抵抗性がつきにくい防除システムの構築に寄与できる可能性はあると考えられる。

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2005.08.25

ニーム関連特許

【2003年までのニーム公開特許】(公開番号、特許名、出願者の順)
【1993年】
170616 海生生物付着防止剤 太陽化学㈱
194138 化粧用組成物 ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ
310523 ニーム油脂肪酸蒸留残渣ベース殺虫剤及びその製造方法
       ゴッドレイ ソープス リミテッド
【1994年】
199617 貯蔵安定性の高いアザジラクチン濃度の溶液
       ダブリュ・アール・グレイス・アンド・カンパニー・コネテイカット
199675 抗炎症・抗かゆみ剤組成物 サンスター㈱
298614 アザジラクチン及びニーム油の共抽出
       ダブリュ・アール・グレイス・アンド・カンパニー・コネテイカット
【1995年】
138180 ヒアルロニダーゼ阻害剤 御木本製薬株式会社 外1名
157420 化粧品 御木本製薬㈱
238011 美白化粧料組成物 サントリー㈱
【1996年】
51932  ニームエキス含有飴 ㈱ステム
239306 忌避剤 サンスター㈱
【1997年】
95450  胃酸過多及び胃潰瘍化の抑制に有用なインドセンダンから活性成分を単離
       するための方法
       カウンシィル オブ サイアンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
255684 アザジラクチン粉末の製造方法、及び該粉末を含む乳化性濃縮物の製造
       方法 同
【1998年】
136909 ペット用飼料及びそれを用いるペットの蚤駆除方法 ㈱ヤマヒサ
194881 肥料 小島良博
292260 畳用資材の防虫加工方法 ㈱宮里経糸
295190 組立植木鉢 小島良博
【1999年】
199461 薬草クリーム及び薬草クリーム用調製液
       カウンシィル オブ サイアンティフィック アンド インダストリアル リサーチ
【2000年】
86495  浴用組成物 鐘紡㈱
95649  テストステロンー5α―レダクターゼ阻害剤 アルプス薬品工業㈱
143498 浴用組成物 鐘紡㈱ 外1名
237501 メリア・アザジラクタから薬効成分を抽出する方法 ㈱ニーム
【2001年】
86806  シーズインナー 小島良博
86808  シーズスプレー 同
86853  花菜土壌 同
106609 シロアリ殺虫剤及びシロアリ殺虫性材料 ㈱日本衛生センター
190150 プランターベーズ 小島良博
226231 育毛剤組成物 ㈱マンダム
231358 インドセンダン含有水稲育苗箱用土壌 ニッケイ インターナショナル㈱
271269 繊維製品及びその製造方法 ㈱ニチバク
278721 アザジラクチン含有貯蔵安定性殺虫剤配合物
       イー・アイ・ディー・パリ(インディア)エル ティー ディー
316239 皮膚外用剤 御木本製薬㈱
【2002年】
80290  粒状固体肥料 日本カンケル(有)
87913  植物保護液、植物保護希釈液、植物保護材、及び植物保護テープ
       日本キレート㈱
154909 病虫害駆除剤 オカダ エコテック プライベート リミテッド
154910 害虫忌避剤及びそれを使用する害虫忌避方法 フマキラー㈱
249404 アザジラクチン粉末を含む乳化性濃縮物の製造方法      
       カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ
363012 植物の殺虫・制虫剤及びその使用方法 ㈱ナチュラルプロダクツ 外1名
【2003年】
55124  簡易防虫装置及びその製造方法並びに簡易防虫装置の使用方法
       武川眞美 外1名

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2005.08.24

ニームが各種新聞に掲載されました

◆環境農業新聞(2003年2月~2004年1月)
連載「ミラクルニーム-その秘めたパワーを探る-」全12回
ニームは20世紀最大のい贈り物-300~400種の害虫を防ぐ-
待望『ニーム』が発刊-まさにニームのバイブル-
ニームオイル、413種類の害虫を駆除-「まったく欠陥がない」と-
カメムシ、イナゴ、線虫予防に-手応えつかんだニーム-
インドネシア・バンドン工科大学
  -ニームの種と葉で、ふけ撲滅シャンプーを開発-

中南米諸国の農業に注目されるニーム 上
  コチョウ栽培の支柱に使うと全世界で1200億円のコスト節減に
  アマゾンの密林伐採を防ぐ
中南米諸国の農業に注目されるニーム 中
  コーヒー栽培に中南米で10億本の可能性
中南米諸国の農業に注目されるニーム 下
  効率的な木材生産が可能-伝染罹病者減少の可能性も-
衣・食・住すべての分野で-バラエティーに富むニーム商品-
アマゾン地区に100万本超植付け-ブラジルのニームには日系人の活躍あり-
各地に”ニームの里”-フィリピンに実験研修センター開所-
今年は「ニーム飛躍の年」-国内・海外とネットワーク-

◆環境農業新聞 ニーム関連ニュース
平成15年10月5日  ニーム情報交換の場に-日本ニーム協会・ニーム大討論会-
平成16年4月15日  日本ニーム協会3周年記念講演会-眠れる資源 ニーム-
平成16年7月15日  国連(国連工業開発機関 UNIDO)が後援
平成16年7月15日  地元(高知・幡多地域)を原料供給地に
                 -ニームで地域振興を目指す平野貞夫氏-
平成16年8月15日  ニーム'93東北農試で試験-イネミズゾウムシに効果-
平成16年12月15日 福島でニームの露地植え
                 -㈱ナチュラルプロダクツ・大矢泰司氏-
平成16年12月15日 日本ニーム協会 インド学校建設・ニーム植林ツアー
平成16年12月15日 UNIDO機関誌でニームプロジェクトを紹介
平成17年1月15日  ニームの木は地球を救う① 遺伝的抵抗性は見られない
平成17年2月15日         〃      ② 乾燥・不毛地でもよく成育
平成17年4月15日         〃    ③ ゴキブリ、蚊等々への効果が明らかに
平成17年4月15日  日本ニーム協会、ニームセミナーを開催
平成17年5月15日  高知ニームの会(平野成泰さん)、水害きっかけにニームを導入

◆環境農業新聞 ニーム商品の紹介
平成16年7月15日  世界が注目 バイオアクトシリーズ OKADA ECOTECH
平成17年3月15日  「ニームのかほり」が好評 合資会社インフォグリーン
平成17年4月15日  ジックニームが好評 環健

◆日本農業新聞
平成14年6月14日  人や鳥に無害な「虫よけの木」
平成16年6月     農薬の"代打"ニーム

◆伊豆新聞
平成15年10月27日 薬効樹木で地域活性化を

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2005.08.21

ニームの日本語の文献

ニームについて日本語で書かれている書物は多くありませんが、そんな中からニームについて記述を紹介します。

◆「ネパール・インドの聖なる植物」(㈱八坂書房)
著者 トリローク・チャンドラ・マジュプリア(訳者 西岡直樹)

<インドセンダン-悪霊を追い払う葉>
~省略~
 ニームの木にまつわる信仰は豊富である。そして数多の神、女神がこの木と密接な関係をもつとみなされている。シータラー女神もこの木に住み、この木をとりしきる女神の一人とされる。
 シータラーは天然痘の守り神であり、この女神はニームの木に吊るしたブランコの上に座した姿で描き表される。シータラー女神ののどが渇いたときには、因習的におの女神の信奉者だとされる庭師が、水をあげることになっている。天然痘にかかったときには、病魔を叱責し、病気の症状をとり除くために葉のついたニームの小枝が様々な方法で使われる。また、この枝で患者を扇いだりもするが、そうすることによって病状が和らげられるものと信じられている。村人がシータラーの女神を称えて歌う賛歌には様々のものがあり、その中には患者の病あらの解放を期した女神への訴えが多く聞かれる。チャイトラ月の新月あら満月までの白分の日にシータラーの女神は祭られる。ヒンドゥーの婦人たちはニームの木に住むシータラー女神に花や菓子を捧げ、ヴァーミリオンを塗って礼拝するのである。
 ニームの木の葉は悪霊を追い払うのに使われる。もしもある者が悪霊に憑かれたら、その人はニームの葉を焼いた苦い煙を嗅がされる。また産屋の戸口の外でニームの木枝がたかれることもあるがこれも悪い霊を追い払うためで、ニームの煙は悪魔や悪霊が部屋に入り込むのを防止すると一般に信じられている。またニームの葉は火葬をすませて火葬場から帰ってきた者たちを死者の霊から守るとも信じられている。ニームの葉は、死者との接触によって起こる悪影響をとり除く力をもつとみなされているのである。ある地方では、悪霊の侵入を阻止するために、出産時に牛の尿を満たした壷と数本のニームの枝が産屋の戸口の前に置かれる。またある地方では男が産屋に入るときには、ニームの枝を使って足を牛の尿で洗うか、または足にそれを少々ふりかけなければならないというしきたりがある。バラモンの家に子が生まれたときには、家の表口と裏口にニームの木の葉が吊るされる。
 人が蛇にかまれたときには、毒が回っているかどうかを確かめるために、早急に黒コショウとニームの葉を混ぜたものが患者にほどこされる。毒蛇にかまれた患者を治療する村の民間医は、患者の体にニームの葉の束をあてながら呪文を唱え治療を行う。一部のヨーガ行者たちは耳たぶに穴をあけ、そこへニームの枝の小片をさす。
 奇異に映るかもしれないが、遊牧民の間では妻の純潔をニームの木によって試すという習慣がかなり盛んであった。夫はニームの枝を地面に放り投げ、妻に向かってこう言うのである。「もしもお前が性的に貞節な妻であるなら、そのニームの枝を手の中にとり上げてみよ」
 何箇所かの地域社会では、カーリー母神の代わりとしてニームの木の下に住むものと信じられており、ときには刻みの入れられてない石が母神の代わりとしてニームの木の下に据えられている。
 ジャガンナータ、スバドラー、バララーマの像はニームの木でつくられる。ニームの木でつくられたこのような像はダール・ブラフマー(木のブラフマー)とかダール・デーヴァタ(木の神)と呼ばれる。インドのプリーにあるジャガンナート寺では、無傷のニームの木あら様々な神像がつくられるという。そして数年後に、これらの神々の御神体は、やはり特別なニームの木でつくられた新しい御神体と取り換えられるのである。
 ニームの木は蛇神信仰とも関係がある。蛇の女神マナサーはニームの木と深い係わりをもっている。この関係は中世初期に起源する。ニームの樹の神聖視はインダス文明の時代に遡る。ある地方ではニームの木の下に石像が据えられ、礼拝されている。
 家畜を病気から守るために、ニームの葉と壊れた土壷の破片を紐で結んだものが、村の入り口に吊るされる。
 ニームの木に関する祭儀は、多くの学者によってさまざまな形で述べられている。ベンガル地方ではパト・ゴンシャイとかニル・プジャと呼ばれる変わった祭りがある。この祭りはチャイトラ月の29日に行われる。村人たちは祭りの3日、あるいは3週間前に、前もってパト・ゴンシャイという柱を立てておくのだが、その柱の長さ2フィート5インチ~6フィート5インチぐらいのものである。この類の祭礼は、まさに樹幹への崇拝なのである。ある種の草や木は、ヴラタ儀礼を行うのに不可欠な材料となっているから神聖視されるのである。チャイトラ月の前半には、ニームの葉を食べたり、葉から搾った汁を飲むという伝統があるとも述べられている。

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2005.05.12

ニームの特許論争、インドに軍配

bbc_1今年3月9日の英国BBCニュースのWeb版に、ニームの特許論争について掲載されました。
詳細は下記URLへ。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/4333627.stm

近々にも日本語訳を掲載したいです。

ニームの特許論争に関する日本語の論文を紹介します。

薬用植物特許紛争にみる伝統的知識と公共の利益について(森岡一氏)【特許研究No.40 2005/09】

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2005.01.12

ニームの木は地球を救う⑤【抄訳】

5.目的外の生物に対する効果
 ニームエキスは目的外の生物に対して「ソフト」であることが分かっている。以下はその事例である。

 クモや蝶、花粉を媒介する昆虫、アブラムシを食べるテントウムシ、様々な害虫に寄生する寄生蜂などに対してニームエキスは驚くほど「ソフト」である。これはニームが効き目を発揮するためには、かなりの濃度が必要なためと考えられる。
 植物の組織を餌にする害虫は作用を受けるが、果汁や害虫を餌にする昆虫はニームの高い濃度に触れることがないためであろう。

 高濃度のニームエキスを開花した植物に繰り返し散布してミツバチを放飼したところ、働き蜂には何の変化も見られなかった。働き蜂は花粉や果汁を巣に運び幼虫に与えるが、若齢幼虫では発育が抑制されたが、中齢以上の幼虫の個体数には変化が見られなかった。

 フロリダ州の温室試験では、ニームエキスはワタアブラムシやコナジラミの捕食性天敵や寄生性天敵(コマユバチなど)に影響がないことが確認された。ニームエキスの使用によりこれらの捕食数や寄生数が目立って減っていることはなかったのである。

 7ヶ所のほ場を対象にしてアブラムシの天敵数を調査した結果、ニームエキスは捕食性のテントウオムシやクサカゲロウ、寄生虫のヒメバチやコマユバチに影響は見られなかった。ニームエキスの散布ほ場では無処理区や他の殺虫剤散布区よりも天敵数が多かった。

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ニームの木は地球を救う④【抄訳】

4.試験の事例
 ニームエキスの効き目は害虫の種類によって異なる。いくつかの主要な害虫やその他の生物に対するこれまでの試験結果をまとめてみた。

1)トビイロウンカ
 ニームケーキ(種子から油分を取った後の残留物)が抜群の効果を発揮するため、フィリピンではトビイロウンカやその他の害虫の駆除に使用されている。

2)アワヨトウ
 アザディラクチンは1haあたり10mgというごく微量で、アワヨトウに対して防虫効果を発揮する。
 またシロナヤガは西半球で作物を加害する最大級の害虫であるが、この害虫がやってくる前にニームエキスを散布することにより、被害を完全に防ぐことができる。シロナヤガはその畑の前を素通りして過ぎていくのである。

3)アワノメイガ
 アワノメイガはアメリカやカナダではトウモロコシの大害虫であるが、実験室での試験の結果、アザディラクチンは10ppmで死虫率100%、1ppmでも90%の死虫率を示した。
 さらに低濃度(0.1ppm)では、一見したところ幼虫に対して全く何の変化も見られないが、成虫になると性別の割合が大きく変わり(メスよりオスが増える)、生き残ったメスも産卵数が低下したり、産卵が大幅に遅れたりする。このような効果はアザディラクチンがこの害虫の駆除に効果が高いことを示している。

4)アブラムシ
 ドミニカ共和国では、ニームエキスがきゅうりやオクラに寄生するワタアブラムシやキャベツのニセダイコンアブラムシに効果があることが実証されている。
 しかしながら土壌施用など浸透移行性を利用した使用ではアブラムシに対してほとんど効果が見られない。その理由はアブラムシが植物の篩部からのみ養分や水分を吸収しており、ニームエキスの成分はこの部分には蓄積されないためと考えられる。(訳者注:ただし散布ではアブラムシに効果がある)

5)ゴキブリ
 ニームエキスはゴキブリの幼虫を殺し成虫の産卵を妨げる。ニームエキスを染み込ませた餌をまいておくと、チャバネゴキブリなど3種のゴキブリの成長が抑制されることが分かった。これらのゴキブリの1齢幼虫は成長が止まり10週間以内にすべて死んでしまう。
 最終齢の幼虫も成長が止まり9週間以内に半数が死ぬ。生き残ったチャバネゴキブリのうち成虫になったのはわずか2%であった。

6)蚊
 各種の蚊の幼虫もニームエキスに敏感に反応する。ニームエキスを処理すると蚊の幼虫は餌を食べなくなり24時間以内に死んでしまう。ある試験では、つぶしたニームの種子を池に投げ込むだけでmethopreneに劣らない効果があることがわかった。methopreneは発展途上国が輸入している高価な殺虫剤である。(訳者注:methopreneは一種の昆虫ホルモン様物質の製剤)

7)貯穀害虫
 貯蔵穀物の防虫剤としてのニームエキスの可能性は非常に大きい。これはアジアでは最古から知られている方法で、文献でもその利点がしばしば述べられている。伝統的な方法では、ニームの葉を3~6ヶ月間混入する方法である。ニームの葉に含まれるどの成分が害虫を寄せつけないかは明らかではないが効き目は確かである。
 また麻袋にニームエキスを塗っておくと、コクゾウムシやコクヌストモドキの侵入を数ヶ月間防ぐことができる。
 さらに豆類の保護にも非常に有効で、処理前に害虫がついていたかどうかに関わりなく、少なくとも6ヶ月間はマメゾウムシを寄せつけない。この方法は大規模な食糧の貯蔵には向いていないかも知れないが、家庭で使ったり種子の貯蔵にはよい方法であろう。この処理をしても種子の発芽率には全く支障が見られなかった。
 インドではジャガイモを貯蔵するとき、ジャガイモガの防虫にニームが使われている。少量の粉末を散布するだけでジャガイモの貯蔵期間を少なくとも3ヵ月間延長することができる。

8)センチュウ
 ニームエキスは様々な種類のセンチュウに効果がある。ニームの種子に含まれるある種のリモノイドがセンチュウに作用することが分かった。この成分は100万分の1(ppm)の濃度でセンチュウの幼虫の成育や卵の孵化を抑制する。ニームケーキを水に溶かしたものも殺線虫効果がある。
 インドのアルガリでの試験の結果、ニームケーキを土壌施用するとネコブセンチュウの指数がゼロとなることが分かった。しかもトマトの成長が他のどの土壌改良剤よりも飛躍的に向上したのである。
 ドイツでは温室とほ場の両方で試験が行われた。ニーム処理区ではトマトの根にはセンチュウがほとんど見られず、その上トマトの成長が著しく改善された。
 南インドのカルダモン生産者は昔からニームケーキをセンチュウ駆除のために使っている。最近の聞き取り調査でも、ほとんどの生産者がこれほどよく効く線虫剤はないと答えている。彼らはベテランの生産者であって他の害虫駆除には化学農薬を使っており、無知や貧困のためにニームを使っているわけではない。毎年カルダモンの畑に1haあたり100~259kgのニームケーキが施用されている。

9)カタツムリ
 ニームエキスはカタツムリにも作用する。実験室の試験では水棲のカタツムリ(Biomphalaria glabrata)を殺すことが明らかとなった。ニームエキスはカタツムリの成虫と卵の両方を殺す。このカタツムリは住血吸虫性病を引き起す寄生虫の宿主となっており、熱帯地方ではおよそ2億人が住血吸虫性病に感染しているので、ニームエキスはこの風土病の予防手段となることが期待されている。

10)糸状菌
 ニームエキスは抗菌性があることは明らかであり、これまでの試験の結果、豆類のRhizoctonia solani 、Sclerotium rolfsii および Sclerotinia sclerotiorum に有効であることが分かった。
 ニームケーキを土壌混和するとRhizoctonia solani の成長が完全にストップする。そのためこの菌は長期間生き残ることができなくなる。
 病原菌の発生が認められる前にライラックに散布すると、そのシーズンは全くうどんこ病にかからない。また温室のあじさいにも有効でうどんこ病の予防には世界的に使われているベンレートよりも効果が高い。
 豆類のさび病では、作物がこの病原菌にかかる前にニームエキスを散布すると90%の予防効果がある。しかしながら一端病原菌にかかってしまうと効果はない。

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2005.01.07

ニームの木は地球を救う③【抄訳】

3.有効な害虫
 これまでの研究の結果、ニームエキスは約200種類もの害虫に効果が認められている。
 この中には通常の化学農薬では効きにくい害虫も含まれている。ある種のコナジラミ、アブラムシ、スリップス、コナガおよびハモグリバエなどである。
 一般的には作物を食害するほとんどの害虫に作用を及ぼす。

【直翅目(バッタやイナゴなど)】
 直翅目にはニームエキスの摂食抑制効果がよく現われる。この種類ではニームエキスを散布した植物を数日間、ときには数週間摂食しないというものが多い。
 最近ある種のバッタではニームエキスが群生して飛翔する形態(群生相)から普通の形態(孤独相)に変える効果があることが明らかにされた。

【同翅亜目】
 アブラムシ、ヨコバイ、コナジラミ、キジラムおよびカイガラムシなどは、程度の差はあるがニームエキスに敏感に反応する。例えばウンカ、ヨコバイの幼虫に対する摂食抑制効果と成長抑制効果は著しい。
 ニームエキスは同翅亜目の害虫が持つウィルス媒介能力を抑制することも知られている。
 例えばヨコバイが媒介するツングロ(tungro)病を抑制することが明らかにされた。

【異翅亜目】
 ニームエキスは稲や野菜やコーヒーなど各種の作物の汁液を吸収するカメムシなどに作用する。浸透移行性のあるニームエキスが害虫の摂食活動を抑制し成長を妨げる。

【総翅目(スリップス類)】
 ニームエキスは地中にいるスリップスの幼虫に非常によく効く。

【鞘翅目(甲虫類)】
 すべての甲虫の幼虫、とりわけテントウオムシダマシとハムシの幼虫はニームエキスに敏感に反応する。ニームエキスを散布した作物は一切食べないし成長も遅くなる。コロラドハムシのように皮膚が柔らかな幼虫は触れただけで死ぬものもある。

【鱗翅目】
 多くの鱗翅目害虫の幼虫はニームエキスに反応しやすい。事実アワヨトウ、果樹のシンクイムシ、アワノメイガは近い将来ニームエキスの主要なターゲットとなろう。成長抑制効果ほどではないが、ニームエキスの摂食抑制効果は侮れないものがある。

【双翅目】
 ミバエやイエバエなど双翅目にはニームエキスのターゲットになるものが多い。蚊に対する効果も期待できる。

【膜翅目】
 ハバチの幼虫はニームエキスがよく効く害虫である。この種類ではニームエキスの摂食抑制効果と成長抑制効果の両方の効果が発揮される。

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ニームの木は地球を救う②【抄訳】

2.ニームの木について
1)特徴
 ニームは学名をAzadirachta jndica A.Juss と言いマホガニー科 Meliaceae に属し、英語名はNeem tree として紹介されている。
 ニームは美しい広葉の常緑樹で、高さ30メートル、太さ2.5メートルにもなり、まるい樹幹から広がる枝葉直径20メートルにも達する。幹はまっすぐで樹皮は厚く明瞭な筋がある。根は地中深く張り、傷ついたときは吸枝が生えてくる。乾燥した地方では吸枝がとくに多くなる。
 ニームは刈り込みに強く、坊主頭になっても生き延びるし、頂部の枝は何度も活発に芽を出す。
 小さくて白い花は雌雄同花で腋生えの房に咲く。また花は蜂蜜のような香りがあり、多くの蜂が寄ってくる。ニームの蜂蜜は人気があり、アザディラクチンの痕跡は全くないといわれる。
 ツルッとした果実は約2センチで楕円形の核果である。熟すると黄色ないし緑色がかった色となり、甘い果実が種子を包んでいる。種子は殻と仁からなり、害虫駆除の成分は仁の部分に最も多く含まれている。
 ニームが実をつけるのは3~5年後からで10年で生産力がピークとなる。その後は毎年50キログラムほどの実をつける。木の寿命は200年以上にも及ぶ。

2)分布
 ニームはアッサムおよびミャンマーが原産地と考えられている。この地方の中部乾燥地帯およびシワリク山脈一帯に広く分布している。
 ニームはインドで最も広く利用されている。インドではケララ州からヒマラヤ山脈、熱帯から亜熱帯地方、半乾燥地帯から熱帯の湿地帯、海水面から標高700メートルの地帯に分布する。

 ニームは20世紀初頭にアフリカに移植されたが、その後世界各地に広げられ現在では少なくとも世界30カ国に定着している。とくにサハラ砂漠の南端の諸国に多く、燃料と木材の重要な供給源となっている。
 ここ100年間にニームはフィジー、モーリシャス、カリブ海地域およびその他中南米諸国にも定着した。アメリカではフロリダ南部、カリフォルニア南部、およびアリゾナで実験的に植えられている。

3)生育と繁殖
 ニームの繁殖は容易である。種子、苗および若木で増やせるほか組織培養もできるが、普通は種子から繁殖し、実生にしたり苗床で苗木を育ててから移植する。
 ニームは低地の熱帯地域ではどこでも成育するといわれるが、概して年間雨量400~1200ミリの地域で最もよく成育する。
 ニームは乾燥した不毛の土地でもよく成育することが知られている。やせて石ころが多い浅い土壌や、表面のすぐ下に硬い岩盤層があるところでの生育ぶりは、ニームにかなう植物は他にはみられない。反面湿地には耐えられず土壌が水に浸かるとすぐに枯れてしまう。
 ニームの成長は早く、わずか5~7年で材木用に伐採できる。
 雑草がニームの成育を抑制することはほとんどない。小さな若木のときを除き、ニームはほとんど全ての競争者より優位を占める。
 鳥やコウモリやテナガザルが種子を運ぶので、条件さえよければ広範囲に広がる。また古木からの自然の再生も非常に活発である。

4)ニームの成分
 ニームには農薬となる成分を多数含み、多くの害虫から自らを守っている。これらの化合物は「トリテルペン」という天然有機物に属し、さらに具体的には「リモノイド」である。

【リモノイド】
 ニームに含まれるリモノイドで、防虫効果があると分かっているものは少なくとも19種類あり、このうちよく知られていて重要なものはアザディラクチン、サラニン、メリアントリオールおよびニンビンである。
【アザディラクチン】
 アザディラクチンは防虫効果の主役である。即効的に害虫を殺すことはないが、害虫を追い払ったり害虫の成長や生殖を抑制する。これまでの研究の結果、摂食や成長を抑制する作用が最も高いことが分かっている。多くの種類の害虫や線虫が摂食できなくなったり、食欲が減退したりする。その効果は絶大で、アザディラクチンの痕跡があるだけでニームに触りもしない害虫がある。
 アザディラクチンの化学構造は「エクダイソン」という昆虫の脱皮や変態を促進する前胸腺ホルモンに似ている。脱皮や変態が正常に行われるためには、様々なホルモンとその他の生理的な変化がたくみに一致する必要があるが、アザディラクチンはエクダイソンの正常な働きを阻止する作用があると考えられる。アザディラクチンが作用すると害虫は脱皮できず、やがて死んでしまう。
 ニームの仁には平均0.24%のアザディラクチンが含まれている。
【メリアントリオール】
 もう一つの摂食抑制物質であるメリアントリオールは、ごく低い濃度でも昆虫が餌を食べなくなる。インドでは伝統的にニームが防虫剤として使われてきたが、これはメリアントリオールの働きによりバッタが作物を食べなくなるからだ、ということが最近科学的に明らかにされた。
【サラニン】
 ニームから取り出された第三のトリテルペノイドはサラニンである。この物質は研究の結果、摂食を著しく抑制するが脱皮には影響を及ぼさないことが分かった。
 移動性のバッタ、アカマルカイガラムシ、コロラドハムシ、マメコガネおよびイエバエなどに対する効果は実験室でもほ場試験でも実証済みである。
【ニンビン、ニンビディン】
 ニンビンとニンビディンは抗ウィルス作用のあることが分かっている。ジャガイモXウィルス、ワクチンウィルス、鶏痘ウィルスなどに作用する。作物や家畜がかかるこうしたウィルス病を予防する道が開かれる可能性がある。

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